今でも、研究が全部ダメになったあの夜のことは忘れられません。
人生で、あんなふうに外に出て泣いたのは、後にも先にもあのときだけかもしれません。
そもそも私は、情報系の学科に進んだものの、パソコンにはほとんど触れてこなかった人間でした。
高校までは、授業で少し使う程度。タイピングも満足にできない状態でのスタートでした。
大学3年生の後期になり、研究室に配属され、本格的に研究が始まりました。
研究室では週に1回、研究成果を教授に発表する時間がありました。
正直、その時間はかなりきつかったです。
教授は機嫌によって態度が大きく変わり、厳しい言葉を投げられることも多くありました。
後から知ったことですが、その教授はパワハラで訴えられるほど問題のある人でもありました。
それでも私は、「自分はもともと一番できない側なんだから」と思い、必死にくらいついていました。
発表ではできるだけ意見を出し、同級生にも声をかけながら、全員で前に進もうと心がけていました。
しかし、努力はなかなか成果に結びつきませんでした。
ついには、「お前の研究には何の価値もない」と言われるほど、厳しい評価を受けるようになりました。
それでも諦めずに続けた結果、論文提出の1か月前になって、ようやく成果が見え始めました。
正直、「やっとここまで来た」という気持ちでした。
ところが、提出1週間前。
自分で実験データを見直しているときに、実験の設定が根本的に間違っていることに気づいてしまいました。
それまで積み上げてきた研究は、すべて白紙になりました。
その頃の私は、1か月ほとんどゼリーだけで生活するほど、心身ともに限界でした。
その事実を知った瞬間、体から一気に力が抜けました。
夜、研究室を出て、近くの公園へ行きました。
階段に座り、気づいたら泣いていました。
そのまま寝転がって夜風にあたりながら、泣いたり、ぼーっとしたりしていました。
落ち着いて目を開いたとき、
5時間以上が経っていました。
どうにか立ち直ろうとしましたが、そのときの私は、自分一人ではどうにもできませんでした。
そんなとき、たまたまスマホの画面に先輩のLINEが目に入りました。
咄嗟に電話をかけました。
その先輩は、高校時代の部活の先輩で、今でも優しくしてくれる存在です。
事情を話すと、「つらかったね」と、ただそれだけを何度も言ってくれました。
そして最後に、「でも、まだ頑張れるよ」と声をかけてくれました。
その言葉に、泣きながらも少しだけ前を向く力をもらいました。
そこから3日間で実験をやり直し、研究論文をまとめ、無事に発表までこぎつけることができました。
正直、気合や根性というより、「誰かに支えられたから動けた」だけだったと思います。
この経験を通して強く感じたことがあります。
人間は、体が動かなくなるのは、精神が壊れたときなのだということ。
そして、元気を取り戻すきっかけは、努力や根性ではなく、かけがえのない人間関係なのだということです。
研究室では、精神を病んでしまった友人の話もありましたが、今回はここまでにします。